歴史

幕末以降の日本の歴史が描かれたおそらくレアな日本史おすすめ漫画「曇天に笑う」

幕末以降の日本史が関係してくる漫画ってあまり多くない気がしませんか?

漫画だけに限らないかもしれませんけど、学校の歴史の授業でも、

戦国時代とか

江戸時代とか

世界大戦

といった大きな歴史はクローズアップされるけども、その周辺にある歴史は軽く触れるくらい。

また、最近では『キングダム』など中国史にまつわる漫画は多く刊行されていますが、日本史にまつわる作品はあまり見かけることがない気がします。

気のせいですかね?

そんなことをいろんなところで話していると、歴史好き、特に日本史好きのKさんに紹介された漫画があります。

Kさんは元々、古代から幕末までの歴史が大好きで、幕末以降の歴史は少し苦手だったそうです。

しかし、この作品がきっかけで明治期以降の歴史も面白いと改めて勉強し直したそうなのです。

その漫画が今回ご紹介する漫画曇天に笑う」です。

『曇天に笑う』とは

『曇天に笑う』という作品の作者は唐々煙さんという方です。

歴史が大きく関係してはきますが、ジャンルとしてはアクション漫画で、疾走感溢れるストーリーとなっています。

マッグガーデン『月刊コミックアヴァルス』という月刊誌の連載からスタートしています。

2011年3月から2013年6月まで連載され、コミックスは全6巻。完結済みの作品です。

『月刊コミックアヴァルス』は2014年8月をもって紙媒体での刊行を終了しました。

現在はウェブでの漫画配信サイト『MAGCOMI』に他WEBサイトと一緒に、統合されています。

完結後の2014年にはアニメ化が、2015年には舞台化がされていますし、2018年には福士蒼汰さん主演で映画化もされています。

一般的にはマイナーなこの「曇天に笑う」ですが、このように歴史好きなかたには根強い人気を誇っている、たしかな名作漫画なのです!

「曇天に笑う」を試し読み

舞台設定

作品の舞台は、1878年、明治時代の滋賀県です。

武士の世と言われた江戸時代が終わりを迎え、廃刀令により武器を取り上げられてしまいます。

今までの士族という身分は役立たずとなり、旧士族は身分も職も失います。

それに加えて、明治維新という大きな出来事が起こります。

尊王攘夷(そんのうじょうい)という武士を中心に広まっていた思想は過去のものとなり、日本では次々とヨーロッパの文化が花開いていきます。

武士としてのプライドやかつての攘夷という思想を捨てきれない旧士族は新政府への不満を募らせていました。

そうして旧士族による犯罪の数が急増します。

ついには脱獄者も後を絶たないという事態に手を焼いた新政府は、とある政策を実行するのです。

それは重犯罪者専用の監獄を作り、そこへ犯罪者を収監することでした。

琵琶湖の中に高い壁と水で囲まれた脱獄不可能な監獄を作り、「獄門処」(ごくもんじょ)と名付けます。

そこは一度収監されると一生外には出られないと有名な監獄となり、人々に恐れられてきました。

その獄門処への橋渡しを代々命じられていたのが、本作の主人公となる「曇神社の三兄弟」です。

個性的な主人公

主人公は「曇三兄弟」です。滋賀県の「曇神社」の当主となる家系の三兄弟を軸に話は展開していきます。

長男 曇天火(くもう てんか)

曇神社の14代目当主で本作の主人公の一人です。

趣味は昼寝、特技は雑魚寝と、怠惰を絵に描いたような性格となっています。

しかし体術に優れており、1人で十数人の罪人を捕まえてしまうほど強く、性格は破天荒で天真爛漫。

幼少期のある事件をきっかけに、生活が一変します。

犲(やまいぬ)を脱退し、父親から神社の当主の座を引き継ぎ、親代わりとして弟2人を育てていくことになります。

そして新政府による陰謀に巻き込まれた張本人でもあります。

次男 曇空丸(くもう そらまる)

破天荒、天真爛漫な長男と悪戯っ子な三男の板挟みになるかなりの苦労人。

家事を一人でこなし、特技は料理と母親のような役回りです。

兄である天火に対し、当たりが強く反抗的な態度を取ることも多いですが、その反面兄を尊敬し、慕(した)っています。

主人公三兄弟の中でも一番の鍵を握る人物で、最終巻では一番大きな役目を背負っています。

三男 曇宙太郎(くもう ちゅうたろう)

12歳とまだまだ子供で、兄(特に天火)のことが大好きな末っ子。

家に住み着いた狸を「ゲロ吉」と呼んで可愛がっていて、語尾がに「〜っス!」とつけるのが口癖です。

足が速く運動神経は抜群で、その速さは空丸に勝るほど。空丸からも「足だけは速い」と評されています。

居候 金城白子(きんじょう しらす)

雪山で血まみれになって倒れていたところを天火に救助されて以来、曇家の居候となっています。

金城白子という名は本名ではなく、なかなか名乗らない白子に痺れを切らした天火がつけたものです。

白髪に紫眼が特徴で、元は有名な忍び「風魔」でしたが、今は曇家の番犬のような立ち位置となっています。

お菓子作りは得意ですが料理は苦手なため、空丸からは料理を止められています。

犲(やまいぬ)

当時の右大臣、岩倉具視直属の軍隊であり、天火らの父親が創設しました。

天火も所属していましたが、ある事件をきっかけに脱退。

以降は安倍蒼世が隊長を勤めています。

隊を勝手に抜けた天火には一貫して冷淡な態度を取る蒼世ですが、最終巻では無事和解します。

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滋賀県の天候と「伝説」

ここで、作品のもう一つの鍵を握る「伝説」とそれに伴う滋賀県の天気について書いていきたいと思います。

「呪い大蛇の伝説」

滋賀県には、300年に一度禍をもたらす呪い大蛇が出現するという伝説が実しやかに囁かれています。

少年漫画とかでよくありそうな話ですよね。

この大蛇は300年に一度、完全な大蛇の姿となるまで、依代(よりしろ)となる人間の心に潜伏します。

人間の負の感情を糧としながら、徐々に心を蝕んでいき完全な大蛇の姿となるのです。

この依代となる人間は「大蛇の器」と呼ばれ、天火と犲らはそれぞれの役目を果たすためにこの「器」を探しています。

滋賀県を覆う雲

その伝説に関係するのが滋賀県の天気です。

この天候も作品が完結するための重大な鍵となっています。

作中、舞台となっている滋賀県大津の天気は10年間ずっと曇り空だと書かれています。

大津の人々の中では曇り空は災いの前兆との噂があるのです。

ストーリーが進むにつれて、この伝説と曇り空の関係性が徐々に明かされていきます。

日本史の史実に関係が深い『曇天に笑う』

作品内で見逃せないのが、冒頭でも書いた通り日本史に深く関係しているという点です。

史実からは改変が加えられているので、少し違和感があるかもしれません。

しかし登場人物には、岩倉具視(いわくらともみ)や大木喬任(おおきたかとう)などの明治期に活躍した人物が登場します。

他にも「風魔」や、安倍・芦屋(あしや)などの「陰陽師」など、実際に史実として語られている人物が主人公と深く関わるキャラクターとして、登場します。

あくまでも主人公はオリジナルキャラクターですが、日本史の史実も絡めたストーリーとなっていてアクションとしてだけではなく、様々な視点からの読み方ができる作品です。

恋愛としての読み方も可能で、例えば呪術に関する一切の才能がなかったことから、

「安倍家の落ちこぼれ」

と称される男と、その安倍家の陰陽師が総出で呼び寄せた式神との何百年にも渡る大恋愛といったストーリーも、この物語の裏には隠されています。

また家族愛としての視点。

幼いながらにしてとんでもない政府の陰謀に巻き込まれ、それぞれの立場である葛藤を抱えながら人間として、家族としての成長が見て取れる作品となっています。

『曇天に笑う』はアニメキャストも豪華!

ここで、アニメの魅力について少し語らせていただきます。

アニメ化も行われている本作は、ストーリーの魅力はもちろんのこと、キャラクターを演じる声優さんもとっても豪華なんです。

長男の天火役を演じているのは中村悠一さんです。

最近の作品だと、『呪術廻船』の五条悟役や『ハイキュー』の黒尾鉄朗役など成人男性から学生役まで幅広くこなす、たいへん人気のある声優さんです。

次男の空丸役には梶裕貴さん。

超有名漫画『進撃の巨人』でも主人公のエレン役を演じるなど実力派の声優さんとして知られています。

三男の宙太郎役は代永翼さんが演じられています。

代表作は『Free!』シリーズの葉月渚役でしょうか。ハイトーンの声で有名で、子供から少年役を多く演じられている方です。

他にも金城白子役に櫻井孝宏さん、安倍蒼世役に鳥海浩輔さんら実力派のキャストの方が勢揃いしていて、たいへん魅力のあるキャストとなっています。

まとめ

『曇天に笑う』という作品は、明治期の華々しい文化が芽吹いていく裏で、新政府の陰謀や伝説の大蛇とのバトルが繰り広げられています。

絶対に叶うことのない式神との大恋愛や家族に対する愛、それぞれの人物の成長も描かれていますし、一般的にはマイナーな作品であるものの、ほんとうにおすすめできる名作です。

そしてコミックスも6巻と少ないので、一気に読み進められるのではないでしょうか。

また、史実として教科書に載るような出来事だけではなく、琵琶湖疏水(びわこそすい)など教科書では知り得なかった歴史の裏側のようなことも、知ることができるのです。

実際に、Kさんも幕末以降の歴史については疎い方だったようですが、この作品を読んで近現代史も勉強し始めたそうです!

聞いた話ですが、日本人は外国人に比べて自国の文化への理解が低いなんて思われているようです。

今の僕たちがあるのも、先人たちの歴史があってこそ。

どのように今の日本が築かれてきたのか、「曇天に笑う」をきっかけに学んでみませんか?

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