歴史

戦国時代の武士はどんな料理を食べていた? 漫画「信長のシェフ」

ドラマや時代劇で見ることの多い戦国時代の武将たち。

戦国時代はまだ肉類を食べる習慣もなく、質素な食生活であるイメージがありますよね。

「戦国時代の武士は、どんな料理を食べていたのだろう」と気になったことはありませんか?

戦国時代は今から400年以上前のこと。その台所事情は現代と大きく違います。

今回紹介するのは、漫画「信長のシェフ」

現代の料理人・ケンが戦国時代へタイムスリップし、織田信長の専属料理人となる物語です。

料理を武器に、戦乱の世を生き抜くこととなったケンが見るのは、現代とは全く異なる食事情。

そして、生きるか死ぬかの戦いに巻き込まれていく、戦国時代のストーリー展開に思わず息をのむことでしょう。

 

「信長のシェフ」ってどんな漫画?

作品名:信長のシェフ
原作・原案:西村ミツル
作画:梶川卓郎
出版社:芳文社
掲載誌:週刊漫画TIMES
コミック:既刊29巻(連載中)

テレビドラマ:テレビ朝日系 第1シリーズ:2013年1月11日~3月15日(全9話)
第2シリーズ:2014年7月10日~9月4日(全8話)

「信長のシェフ」を試し読み

あらすじ

現代の料理人・ケン。彼が目を覚ますとそこは戦国時代だった。京で評判の料理の噂を聞きつけた信長は、強引にケンを自分の料理人にするが…!?戦と料理が織りなす前代未聞の戦国グルメ絵巻!コラム&レシピ「戦国めし」も必見!

出典元:ebookjapan

 

登場人物

ケン

現代(平成)から戦国時代にタイムスリップした料理人。

タイムスリップした時に、現代での記憶を失っている。

料理のこと、歴史のことの知識はあるため、自分が未来から来たという自覚はある。

戦国時代には見たこともない料理を振る舞う料理の腕を見込まれ、織田信長の専属料理人となる。

織田信長

ケンがタイムスリップした時点では、永禄11年(1568年)。

織田軍の勢いが増し、次々と諸国大名を束ねていく。

京都へ上洛、滞在中にケンの噂を耳にして、ケンを専属料理人として取り立てる。

家臣には、柴田勝家・明智光秀・豊臣秀吉などの歴史に名を残す人物たちを従えている。

 

戦国時代における料理

本作のストーリーは、現代から戦国時代へとタイムスリップしてきた料理人・ケンが、

その料理の腕を活かし、乱世を生き抜いていくという物語。

戦国時代は現代とはかなり違い、料理には欠かせない調味料の種類が少ないのです。

現代の料理では定番の醤油が使われ始めたのは1580年前後のこと。

ケンがタイムスリップしたのは1568年(永禄11年)という設定なので、醤油が一般的に広まる前でした。

戦国時代にあったのは、味噌といった調味料。

今では日本人にとって欠かせない醬油砂糖もない時代で、戦国時代の人々がどういったものを食べていたのか気になりますよね。

戦国時代の人々のエネルギー源は、塩や味噌で濃く味付けをしたものをおかずに、

糖質を含む米をたくさん食べていたそうです。

米には粟(アワ)や稗(ヒエ)などの雑穀も混じっていたようで、白米ではなく玄米黒米

そして現代の食卓では定番の、牛・豚・鶏の肉類を食べる習慣は、戦国時代にはまだありませんでした。

使われる肉といえば、鴨(カモ)猪(イノシシ)の肉です。

織田信長が美濃(現在の岐阜)や京都にいる時は、の料理を食べていたとも言われます。

とはいえ、庶民は動物の肉を食べる機会はほとんど無く、魚類・豆類を主なタンパク質として摂取していたようです。

それでも米が主食の生活だったため、米を様々な方法で調理して食べていました。

現代のように水を入れて炊く姫飯(ひめいい)、強飯(こわいい/現代のおこわ)、飯に湯や汁を入れた湯漬け飯、赤飯のような混ぜご飯

など、現代にも負けないくらいのバリエーションがありました。

白米ではなく、雑穀米・玄米が主なので、現代とは食感や見た目は異なるでしょう。

しかし今で言うところの、かなりオーガニックな食生活であったことが分かりますね。

現代とはまるで違う料理環境の中、現代の料理人・ケンがどのような料理を作るのか、というところが作品の見どころでもあります。

 

武士は何を食べていたの?

一風変わった料理を作る男がいる、ということを聞きつけて、織田信長はケンを専属料理人としました。

織田信長は尾張(現在の愛知県)出身の武将であることから、味の濃いものを好んだと言われています。

尾張の辺りといえば、味の濃い味噌が有名ですよね。

史実では、京都の薄味が、織田信長の舌には合わず「水臭い(味が薄い)」と怒り出し、

料理人を斬ろうとしたとの逸話もあります。

当時の武将たちは、玄米を中心とした一汁一菜の質素な食事をしていたようです。

しかし玄米には、炭水化物の糖質を主栄養素としてビタミンB1・アミノ酸が含まれており、

玄米をよく噛んで食べることで消化がよくなり、栄養をさらに吸収しやすくしてくれる効果があります。

質素だけれども、栄養重視な食生活だったのですね!

一方、庶民の足軽(あしがる)たちが戦に出る時は何を食べていたのでしょうか?

短期の戦に出る時は、それぞれ食事を持参することになっていたようです。

陣笠(じんがさ/下級の兵がかぶとの代わりにかぶった笠)を鍋の代わりにして、

持参した米を炊き、塩や味噌をおかずに食べていました。

他にも携帯できるスナック兵糧丸(ひょうろうがん/白玉粉・小麦粉・そば粉を練ったもの)」を持ち歩いていたそうです。

それから里芋の茎を縄のように編み、味噌で煮しめた「芋がら」というのも定番でした。

戦場でそれを千切って、湯に浸すと、なんとインスタント味噌汁に!

戦が長引けば現地調達が当たり前で、を食べてしまうこともあれば、野草松の皮すらも食べていたようです。

城内に松の木が多いのは、籠城戦になった時の為の食料になったからだとか。

戦場に、近くの村から一般の人が屋台を出したり、売り子が来ることもあったそうです。

戦は当時の一般人にしてみれば、かっこうのビジネスイベントだったのかもしれませんね。

とはいえ、「腹が減っては戦はできぬ。」ということで、

上杉謙信武士たちの士気を高めるために、大量の飯を炊き豪勢に振る舞ったとも言われています。

こういった歴史の教科書では見ることのない、戦国時代の裏話も本作では描かれ、

戦国時代の武将、武士たちが何を食べて戦に臨んでいたのかを伝えてくれます。

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料理は駆け引きの武器

史実でも、織田信長は立ったまま飯を食べた、というほど、食への関心がなかった人物のようです。

食への関心があまりない織田信長が、ケンを専属料理人にしたのはなぜか?

そこへ、ポルトガル人宣教師、ルイス・フロイスが織田信長の元へ訪れます。

織田信長は、ここでルイス・ フロイスを上手くもてなさなければ、南蛮諸国へ日本という国の面子に関わると考えていました。

これはケンにとっての戦です。

これに失敗すれば確実に斬られると覚悟したケン。

ケンが考えたことは「この宴で信長が得したいこととは何か」

なぜ信長にとって、この宴でケンの料理が必要なのか。

常に戦略の駆け引きが行われるのが、この戦国時代の面白いところですよね。

ケンが作る料理に込めたメッセージに、織田信長の意図が加わり、料理が信長にとっての外交の武器となっていきます。

他のグルメ漫画とは違い、ただ美味しそう、という訳ではなく、

料理を通じて行われる、戦略・心理戦の駆け引きがとてもスリリングなのです。

胃袋で人の心を掴むことに長けたケンの料理はどれも素晴らしく、それに虜にならない人はいません。

食材が限られる戦国時代で、完璧なまでにメッセージ性を込めた料理を作ってしまうケンに、驚き感心してしまいますね。

 

歴史をなぞるストーリー

本作は、料理マンガでありながら、戦国時代の歴史をベースに物語が進んでいきます。

ケンがタイムスリップしたのは、永禄11年(1568年)。

そこではまだ室町幕府があり、各諸大名が力を持っていた時代です。

歴史にある通り、織田信長は大名たちを攻め落とすために出陣、その戦にケンも巻き込まれます。

歴史に名を残す様々な人々に出会い、料理を作っていくことになります。

歴史を知るケンは、この後に何が起こるかを知っていることから、

自分が料理を作ることで歴史を変えてしまうかもしれない、という苦悩にも陥ります。

歴史を知っている読者としても、歴史がどう動くのかと知っていながら、

この後の展開がどうなるのかとハラハラさせられてしまいます。

ケンは料理が上手いだけではなく、戦国時代の流れに飲まれない度胸と肝の太さがある人物。

戦国武将さながらに活躍するケンの姿が見ていてとても爽快です。

彼がこの戦乱の時代に、料理を武器にどう生き抜いていくのかが、本作の見どころですね。

 

まとめ

戦国時代を料理という目線で描く「信長のシェフ」

戦国時代の食事情にフォーカスし、醤油や砂糖もなく、限られた食材しかない時代の武士たちが、

どういった食生活をしていたのか、その生活を垣間見ることができます。

戦の天才と言われた信長が見出したケンの利用価値

信長の天下統一に、ケンの料理がどう影響していくのか。

料理が戦略の駆け引きになり、料理人として武士のように戦うケンの生き様は圧巻です。

歴史を知る読者だからこそ、その展開にハラハラと手に汗握ることになるでしょう。

戦国時代の武士たちがいったい、どういったものを食べていたのかを垣間見ながら、

戦国時代を2倍、3倍に楽しめる作品「信長のシェフ」を読んでみてはどうでしょうか?

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